ミュージカル『SMOKE』再再演:君自身を偽造するのもやりがいのあることだろう

浅草九劇でのMusical『SMOKE』再再煙も、残すところあと数日となった。わたしはあと二回劇場を訪れる予定だが、改めてMusical『SMOKE』に対するいまの所感をまとめておきたい。 浅草九劇での三度目(東京芸術劇場での大人版も含めれば四度目)のSMOKEがどの…

ミュージカル『SMOKE』再再演:結局、彼も捨ててしまったんだね

「どうすればよみがえる?」終盤、歌われる言葉のひとつだ。忘れてしまった情熱、愛情、夢は、どうすれば甦らせることができるのだろう。Musical『SMOKE』、浅草九劇での再再演を繰り返し観て、わたしはわたしのこころが軽くなり、癒着してしまった自分の袋…

ミュージカル『SMOKE』再再演:そうまるで牢屋のなかにいるようだ

二年ぶりにミュージカル『SMOKE』が帰ってくる。チケット先行が始まって真っ先に、「その頃にワクチンを打てているのか?」「九劇でやれるのか?」という不安が渦巻いた。 日本版ミュージカル『SMOKE』は、浅草九劇の四方囲みのステージで生まれた*1。手を伸…

Show must go onを叫ぶのか

芝居がすき、舞台がすき、ライブエンターテイメントがすき。一口に「すき」を切り取っても、その「すき」は様々だ。政府から不要不急の外出を控え、自粛が求められる中、誰かの「すき」が自粛の大波にのまれる日々が続いている。わたし自身、すでに手持ちの…

ミュージカル『ラヴズ・レイバーズ・ロスト-恋の骨折り損-』

「座席にいるのが楽しい」。不思議な感想だが、久し振りにブログを更新したくなった。そもそもシェイクスピアは喜劇よりも悲劇のイメージが強く、それこそ『マクベス』は『メタル・マクベス』の印象が強過ぎた。オーソドックスなシェイクスピア演劇を知らず…

ミュージカル『SMOKE』再演:날자, 날자, 날자

「言葉というのは 心から取り出した途端に腐り始めてしまう だから一気に 一気に書くのです」 千穐楽からもうすぐ1週間が経つ。千穐楽公演当日は、終わってしまう、終わってしまうと、まるで呪文のように心の中で唱えていた。だが気づけばたった三人の動き…

ミュージカル『SMOKE』再演:7月感想

「希望をなくし テクニックを手に入れた 天才にはなれず 剥製のように生きてきた」 この作品は、すでにふさがった傷跡に鞭打つような作品だ。いやもしかすると、心に負った傷とは、今も心臓が脈打つたびに血を流しているのかもしれない。それを忘れているだ…

ミュージカル『SMOKE』그대 자신을 위조하는 것도 할 만한 일이오

初日、足早に取引先を後にした。この時間ならぴったり間に合うだろう。自分の完璧なスケジューリングに、心の中で拍手喝采を送った。まだ日が明るいうちに仕事を切り上げたのは久し振りだった。そしてこんなにも待ち遠しく、急くような気持ちで劇場へ向かう…

ゲキシネ_髑髏城の七人 Season花

どうしたって人は忘れてしまう。ステージアラウンド東京で『髑髏城の七人 Season花』を観てからもう2年の月日が流れようとしている。WOWOW放送版は何度も観ているが、正直花髑髏の音響は舞台で聞いたそれとは大きくかけ離れていて、だからこそ今回のゲキシネ…

ありがとうステアラ!!ありがとう劇団☆新感線!!

夢ならばどれほどよかったでしょう 未だに豊洲のことを夢にみる 忘れ物を取りに帰ったなら 確実に開演には間に合わない 戻らない幸せがあることを 最後にあなたが教えてくれた 中古車買えそうなチケット代も 今にして思えば足りなかった きっともうこれ以上 …

『メゾン・マグダレーナ』に対して今思うこと

「思いは言葉に。」というのがはてなブログのキャッチコピーのようであるし、遅ればせながら日本に到達し定着しつつある#MeTooの影響としてではなく、あくまで一個人の所感をいつも通りに書き記しておきたいと思う。 11月18日、株式会社CLIEが運営するTwitte…

ミュージカル『SMOKE』나는 여자도 남자도 아닌 그저 예술가

千穐楽、5人で歌い上げてくれた『翼(という楽曲らしい、韓国版を観た方のブログなどから知りました)』。天才を夢見た天才の、短か過ぎた人生がもしもこんな希望に溢れたものだったなら、そう願わずにはいられない歌だった。誤解のないよう書くが、5人で歌…

それでも通う、すきなものはすき

観る前から泣きたくなっているのはなぜだろう。彼が綴る言葉がすきだった、彼が語る言葉がすきだった、彼が演じる芝居がすきだった。年明けに予定されている舞台、もちろん最速先行で千穐楽のチケットをおさえた。来年も楽しみがあるのは素晴らしいことだと…

みんな『メタルマクベス』disc1を観て

「ドクロの次はメタルが回る!!」そんな新聞広告より先だったか、後だったか。豊洲のステージアラウンド東京で『メタルマクベス』の上演が決まり、わたしは早速ゲキシネ『メタルマクベス』のチケットを取った。 正直に言って一幕は置いて行かれた感があり、…

『Indigo Tomato』と『修羅天魔』

久し振りにブログを書いている。去年は観劇すればほぼ必ず書いていたけれど、正直かなりつまらない作品に出会うことも、実生活もいろいろあって滞っていた。そもそも不平不満をブログに書きたくないのは、スキよりキライのほうが、余程明文化しやすいからだ…

はじめてのFINAL FANTASY、一度きりのFFXV

約十年。このゲームは発表されてから我々のもとに届くまで、それだけの年月を要した。普段ゲームに疎いわたしですら、10代の頃にあの新宿都庁をキラキラと輝く剣が舞い、黒衣に身を包んだイケメンがストームトルーパー敵をバッサバッサとなぎ倒して、最後…

ステージアラウンド東京a.k.a.豊洲髑髏城の座席

ステージアラウンド東京におけるこれまでの座席感想まとめです。花髑髏9回、鳥髑髏1回、風髑髏2回、上弦10回下弦1回、合計23回ステアラに通って、花髑髏の頃はイキってたから6列目で観えないとかほざいてたけど、上には上が(下には下が?)あったんだぜYeah………

『髑髏城の七人』への妄想〜月髑髏終わらないで〜

※キャラクター名や台詞などは後ほど戯曲本から修正予定です 「無界屋蘭兵衛」「狸穴二郎衛門」。ずっとこの二人の名前が気になっていた。付け焼き刃ながらいろいろと調べたが、なぜ気になるかと言えば、そもそもあの人数の登場人物の中で同じ漢字を当てる時…

『髑髏城の七人』Season月(上弦の月)_2018/2/11昼夜、2/13昼夜

我慢できない性質なので、先週末と週明けに上弦髑髏城をマチソワした。もちろん平日公演は有給休暇を三途の川に捨之介。さすがに4公演連続で観れば満足できるかと思いきや、やはり髑髏城はわたしを捉えて離さない。 さて先日、初めて訪れた神社でおみくじを…

『髑髏城の七人』Season月(上弦の月)_2018/2/4夜

本音を言えれば 今のままいたい その因果は私で消したい 覚悟はとうの昔に していたけど*1 一幕終盤、極楽太夫が歌い上げるその歌の歌詞を理解してからは、ずっとあのメロディが心から離れない。「森蘭丸」を「無界屋蘭兵衛」にした人は、天魔王が髑髏城で戦…

『髑髏城の七人』Season月(上弦の月)_2018/2/2夜

蘭丸の最期。崩れ落ちながら天魔王を背中に庇った彼は、しっかりと共犯者の手を握っていた。一瞬狼狽えた天魔王は、蘭丸の言葉にハッとして、怯えるようにその手を振り解いた。赤く染まった手のひらが、蘭丸の白い手の中からパッと逃げるように飛び出したの…

『髑髏城の七人』Season月(上弦の月)_2018/1/14夜

先日、実生活で初めて誰かが他人を「駒」と呼ぶ瞬間に立ち会ってしまった。誰かとは、わたしの現職における恩人なのだが、事前に「今日はいらないことも言うからな、ごめんな」とわたしに言い含めた上で、最初から揉めるとわかっていた話し合いを始めた。そ…

『髑髏城の七人』Season月(上弦の月)_2018/1/9昼

年明け最初の髑髏城。これまでは豊洲駅から歩いていたが、気分を変えて新橋方面からゆりかもめでステージアラウンド東京へ向かった。前日は雨、劇場の上に浮かぶ雲が、ミッキーの耳をつけた髑髏のように見えた。 ……と冷静に感想を綴ろうと思ったが、まったく…

『髑髏城の七人』Season月(下弦の月)_2017/12/25夜

花鳥風月。最後のチームは若手中心の2チーム制。キャストが発表された際の印象は、もう語弊を恐れず正直に書くが、「マジかよ大丈夫なのかよ」だった*1。第一にそれまでの髑髏城が最高過ぎた。髑髏城は、恰好良い大人の少年ジャンプ、という印象だったから…

ありがとう2017年、おいでませ2018年

あけましておめでとうございます。新年を迎え、昨年の観劇記録をさらってみた。ざっと今年の観劇予算の目算を立てたいし、数年以内にNYのブロードウェイに行ってみたいと考えているから、昨年の反省を活かして今年は上手く観劇したいなと考えている。 一番の…

超歌劇『幕末Rock』絶叫!熱狂!雷舞(クライマックスライブ)

暗号感想は置いといて…幕末Rockという作品が音楽的青春であったと、観ていて感じたよ。Crash my headで涙腺が緩むとは当初は思ってもみなかった。思い入れが強いからかな♪日付変わって今日の千秋楽、観れる人は倖せ者だ!大いにRockして下さい⚡︎#幕末R最高絶…

今度生まれかわっても、また一緒に、Rockやろうぜ……

ゲーム、アニメ、そして舞台と、『幕末Rock』という作品の展開の最後として始まったのが超歌劇(ウルトラミュージカル)*1『幕末Rock』だ。わたしはそもそも『幕末Rock』のアニメがだいすきで、その流れで超歌劇の初演も観た。ゲーム・アニメ自体、トンデモ…

『髑髏城の七人』Season風_2017/11/03千穐楽

劇場からの帰り道、自宅近くは通り雨に降られた後だった。雨の匂いと濡れた枯れ葉に、捨之介を救うべく沙霧たちが駆け抜けた雨の荒野を思い出した。序盤、観客が捨之介たちとともに初めて無界屋を訪れる時、流れる風景には枯れ葉が舞っていた。風髑髏千穐楽…

楽しいフリをし続けていると楽しいのかもしれない

2017年ももう残りわずかだ。今年ほど、観劇を趣味にしていて救われた年もないと思うから、年の瀬を前に振り返っておきたい。そしてこれまでの自分の所謂「オタク活動」について、今思い、感じていることを言葉に(ってはてなブログが言ってた)。 2月。…

『人間風車』_2017/10/09東京千穐楽

本当はまっさらな状態で臨むべきだったと思うが、怖い怖いと聞いていた『人間風車』、東京千穐楽公演を観てきた。人間性を疑われること覚悟で書くが、全然怖くなかった。強いて言うなら、平川がサムに童話を無理やり聞かせるシーンが怖かった。あと、小杉が…