ミュージカル『レ・ミゼラブル』プレビュー公演_2017/5/22夜

 想像以上に舞台上は暗い。だがそこに灯される本物の松明や蝋燭の光は、まるで当時のパリを再現するかのようにくっきりと観えた。全編を通して聴くことができるフルオーケストラの演奏も圧巻で、流れるようなメロディと音のボリューム感は生演奏ならではだ。

 一番印象的だったのはジャベールの最期のシーン。本当に橋の欄干から、轟々と落ちる水底へ落ちていくようだった。舞台構造を逆転の発想で捉えていて、そうするのか!と驚かされるから、ぜひあれは劇場で観るべきシーンの一つだと思う。結構ぞっとしてしまう。

 コンビニでチケットを発券した際に、店員さんが、「『レ・ミゼラブル』、良いねえ。一度は観てみたいと思ってるんだ」と言いながら手渡してくれた。わたしは微笑み返すしかできなかったが、つまりはそういうものなのだろう。30年の歴史を持ち、帝国劇場で繰り返し演じられる演目とはつまり、それだけ観たくても観られない人がいるということだ。

帝国劇場 ミュージカル『レ・ミゼラブル』