ありがとう『髑髏城の七人』Season花!!

 劇場は、そこにあるのが当たり前な印象を抱きやすい場所のひとつだ。帝国劇場など、歴史ある劇場を訪れた際には特にそう感じる。壁一枚隔てた向こう側で限られた観客へ限られた非日常を提供しながら、日常に溶け込む場所。劇場に通うようになってから3年が経ち、それなりにお気に入りの劇場、というものができ始めた(天王洲銀河劇場と、世田谷パブリックシアターが「場」としてすき)。

 

 IHIステージアラウンド東京で今日千秋楽を迎えた『髑髏城の七人』Season花。そもそもの作品自体に自分がどれだけズブズブにハマってしまったかは、自分が一番わかっている。

 9度、ステージアラウンド東京を訪れた。もうすでに2020年までで取り壊しが決まっている、まるで髑髏城のようなあの劇場。単純に、わたしはあの劇場の心意気は粋だと思う。世界にひとつしかないものを日本へ持ち込んだ資本側の勇気と、1年を背負った劇団☆新感線さんにはやはり拍手をおくりたい。

 とはいえ今回はまず、あの特殊な劇場での座席位置がもたらす変化について書きたい。同じ座席に2回座る、という面白体験を3回したから、そこも含めて自分への備忘録も兼ねて。座席位置とそこからの景色を、なるだけ話の内容をフラットにして考えたいと思う。

 

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04/14 6列下手

04/26 2列センブロ

05/05 3列上手

05/15 14列センブロ

05/27 5列センブロ

06/04 3列上手(5/5と同じ席)

06/10 6列下手(4/14と同じ席)

06/11 2列下手

06/12 2列下手(6/11と同じ席)

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04/14 6列下手

前が通路の席が来て、単純にラッキー!!と思った。だがしかし、最前列と舞台の間にはまあまあ高い塀のようなものがぐるりと取り囲んでおり、脚元はもちろん、座り込んだ演技は一切観えない。だが視界は良好だし、初見時はここをオススメする。

 

04/26 2列センブロ

楽しいに決まってるよ、当たり前だよ!!前に男性が座られたので視界は遮られた部分があるが、まあそこは、それこそ回るのでだいじょうぶ!!2回目でこの位置が来てなければ、わたしはこんなにハマらなかった……あの時悪魔に魅入られたんだ……

 

05/5 3列上手

回転時、今までで一番重力を感じた。ふと中学数学を思い出し、円心と円周の距離とか、そういうのを考えてみたけどやめた。どうやら円の外側にいるほうが回る抵抗を体感するようだ。回転系の動きが苦手な人は、中心近くに座ると良いかもしれない。

 

05/15 14列センブロ

傾斜少ない。舞台の奥で芝居をしてくれている時は良いが、あとは確実に前の人の頭が視界に入る。とにかく前に座高が高い人が来ませんように、前のめりと首が座ってない人が来ませんようにと祈る。劇場妖怪に勝つにはもう運しかない。けれど拍手や、客席からの笑い声は前方席より良く聞こえて、それらに包まれているようで楽しい。

 

05/27 5列センブロ

演出意図は一番理解できる気がする。視界は1〜4列の座席に遮られるが、ここの位置から観たスモークの美しさと雨は忘れられない。ここはこう「魅せて」るのね!!となんだか演出家さんと対話している気分になれた。複数回観て、全体のおさらいをしたい時はここからの景色が多分オススメ。

 

06/04 3列上手(5/5と同じ席)

前列は本当に寒いので、夏場は特に注意だ。3日間ステージアラウンドに通った今、まさに喉が痛いです。ブランケットは貸し出ししているが、今日はなくなったと耳にしたので次回以降は確実に持参する。回るだけで風が超冷たい。とはいえ演者さんのためだから、こちらが防寒すれば済むことだ。

 

06/10 6列下手(4/14と同じ席)

自分の初回と同じ席、ということでなんだか運命感じてしまったラストソワレ。まさか翌日と翌々日も同じ座席とは思ってなかったね。やはり観やすいし、ここまで来ると脳内で360度カメラが回り始めるから、もう記憶が下手の概念を失っている。今思えば、前方列よりは見切れが少なかった。

 

06/11 2列下手

近い〜ハッピ〜嬉ピ〜と言っていられないのがこの席。泣いたよ。そりゃ泣いたよ、前楽でさ。でもさ、贋鉄斎さんの水車観えない。天魔王さまの地球儀観えない。無界屋襲撃で、蘭丸がしゃがみこんだら柱で観えない。蘭兵衛さんの屍体が観えない!!

けれどラストは信じられないくらい「生きるよ!!あの子たちのぶんまでね!!」という気持ちになれる席だった。家康さまにも、兵庫にも太夫にも惚れた。沙霧ちゃんはなんであんなにカワイイんだ。兄さ、褒美の金のうち、小さい袋しか持って行かないところが性格を現していて美しい。

 

06/12 2列下手(6/11と同じ席)

千秋楽は今までの総浚いのような。視界が開けた状態で、ラストの大回しに拍手ができたことがなにより嬉しかった。あと下手前方席は、見返り蘭兵衛さんと目が合った錯覚を感じられるから実質タダでした。

 

 千秋楽を観終えて、なんだか過充電されたバッテリーのような心持ちがする。85公演のうち9回。プロの、プロによる、最高のエンターテイメントを観た。多分もう引き返せないし、引き返す気もない。このドクロイヤーを生きて生きて生き抜こう。本気って、これだけ魅力的なのか。大人になるって良いな、生きてて良かったなあ。そんな漠然としたことを考えた。

 良いエンタメとはなんだろう。きっとこの答えは、誰にもわからないし、誰にでもわかるのだろう。どうとも形容できないし、どうとも形容できる、でも強いていうなら、心臓のあたりがちょっとだけ浮く感じ。『髑髏城の七人』Season花に夢中になった初夏の日々は、ずっとそんな状態で過ごせた。本当に本当に、この作品を届けてくれた方々に、大感謝だ。

 もうすぐSeason鳥が始まって、次はSeason風、Season月。でも今は少しというかかなりというか夢見酒を煽りたいほどには、寂しい。

 『髑髏城の七人』Season花、だいすきだ!!ありがとう!!