『髑髏城の七人』Season鳥_2017/07/31ライブビューイング昼

※ネタバレあり!!

 

 早乙女蘭丸の赤いアイラインは下瞼に滲むように引いていたのかと気付けたり、森山天魔王の額はあれほどまでに哀しく歪んでいたのかと知ったり、阿部捨之介が序盤で浮かべた余裕の笑みが忘れられない。だから、やっぱり舞台は前方列で観たくなってしまう。

 

 月どくろのキャスト発表もあったらな、などと欲深い期待も抱きつつ、初めてライブビューイングというものを経験した。生で観られないなら観ないという自分ルールも、髑髏城の前では早くも敗れ去った。前回中列中央から観た鳥どくろは、確かに印象的だったし、鮮やかではあったが、演者さんの顔を観たくなってしまった。そして劇場では座席位置に大きく左右される音響も、映画館ならばある程度は担保されるのでは、とも思ったからだ。

 予想通り音響はかつてないほどに聴きやすく、多少のマイクトラブルはあったにせよ、歌詞が聞き取れたことはとても嬉しかった。特にクドキの場面、かなり重要なことを歌い上げているから、ステージアラウンド東京の音響ベスト座席位置も探る必要がありそうだ。

 

 森山天魔王と早乙女蘭兵衛の殺陣はやはり圧巻で、太刀捌きは観えず、身体がどうなっているのかもわからなかった。ただただ風を斬るように透明な早乙女蘭兵衛の殺陣と、しなりながら強靭で柔軟な森山天魔王の殺陣を観ているだけで楽しいのだ。良い意味で人形のような二人が、二人だからこそできる力加減で、常人離れしたやりとりを魅せてくれた。

 

 かつライブビューイングとは面白いもので、なんだか自分が劇場の空気のような気分になった。おそらくカメラによって視界を制限されていたからだろう。鳥は花より回数を重ねていないから、カメラに視界を委ねれば委ねるほど、能動的ではなくより受動的な観劇になった。するとまるで鳥瞰しているような、その世界に「入り込む」というよりは「覗き込む」かのような心持ちになった。映画と舞台は似ているようでやっぱりまったく違う。

 

 今回、信長が天魔王に「死ね」と命じた、という物語。わたしにとっての花どくろで語られず、それでいてそうであったらとずっと願っていた、「殿と人の男」の関係性だった。

 花どくろにおいて、天魔王が信長にそう言われたという描写はない。けれど、もしも彼が殿に死ねと命じられていたならば。なんて憐れで、そして最後に天を睨む彼の口元に薄っすら浮かんだ笑みの理由も、なんとなく説明できるようになる気がする。貌を焼かれ、誰かの仮面を被って天を睨んだ男が唯一、裡に秘めていた命令と願いがそうであったなら。

 そうだ、わたしが抱いた感想は、花どくろにおいては妄想でしかない。けれど鳥どくろにおいては正史なのだと思うと、もしかして鳥への願い事は、風で叶うのではないかと思えてくる。今回言われもしないで感じたのは、信長の最期の命に逆らったのは、捨之介でも天魔王でもなく蘭丸だったのではないかということ。そう願っているのだが、果たして。