ありがとうアルターボーイズ2017

〜『ALTAR BOYZ』合同スペシャル追加公演を経て〜

 

 2月は逃げると言うけれど、今年の2月は特別だった。『ALTAR BOYZ』という作品に出会い、夢中になった。バレンタインデーはもちろん劇場にいたし、2月最後の週末も劇場にいた。

 「ありがとうアルターボーイズ」それしか言う言葉がみつからない。なんて冗談抜きで本気でそう思っている。合同公演の記憶はあやふやだ。初日はTeam LEGACYとTeam GOLDのシルエットが浮かび上がっただけで泣いていたし、千秋楽はなにで泣いているかわからなかった。けれど間違いなく、悲しくて泣いた瞬間はなかった。本当はもっと暗い気持ちになると思っていた。Team LEGACYは解散すると宣言していたし、Team GOLDはたとえ数年後に続投してくれたとしても、それは進化もとい成長した彼らであって、良い意味でTeam GOLDではないからだ。

 

 『ALTAR BOYZ』という作品が、なぜ自分の心をここまで震わせるのかは、自分でもよくわからない。とても形容し難い感情だ。ただ、アルターボーイズと出会ってからずっと、あたたかな手が自分の背中を守ってくれているような気がする。これまで自分を守ってきてくれたものを、改めて知る感覚。暗い森から明るい草原に出て、驚いて振り向くような。歩いて来たこれまでの道に伸びる自分の影を、明るいところからまじまじと見つめるような。

 東山マシューさんの、『ALTAR BOYZ』という作品に対する、真摯であたたかな眼差しが忘れられない。厳しいようで底抜けに優しい中河内マークさんは、いつも爪の先、まつ毛の一本一本にいたるまでルークを演じてくださっていた。森ルークさんの、「これからはお前たちの時代だ」という言葉とその響かせ方に、涙腺が崩壊した。植木フアンちゃんが毎公演、フアンが持つ悲しみの、その一つ一つを変化させて表現されていたことが毎回驚きだった。良知アブちゃんのカーテンコール、15歳の夢を33歳で叶えられた。そんな素敵なことが起こるこの世界は、本当に大袈裟でなく、捨てたもんじゃないなと思えた。

 

 毎日毎日、なにかしら素晴らしいことは起こるし、途方に暮れることも起きる。けれどその時にどの方向を向くか。試されているのは舞台上だけではなく私たちも試されている。

 『ALTAR BOYZ』という作品の魅力の一つは、宗教色を全面的に押し出しながら、なにを信じるかではなく、信じるという行為そのものの美しさを描いている点にあると思う。そして無限の解釈。同じ瞬間を共有した観客が、それぞれのバックグラウンドでそれぞれに感じられる自由度の高さ。だからこそ、チーム制が実現できるし、やはり『ALTAR BOYZ』は現代の神話と言っても過言ではないのではないか。

 

 Team GOLDはまた必ず戻って来ると言ってくれた。それを私は信じてる。合同公演、Team LEGACYを見送るアルターガールズの先輩方にも、ありがとうという気持ちになった。これまでを応援した方々がいるから、自分はアルターボーイズに出会えた。いつか黄金が遺産になる時、そんなアルターガールズでいたいと思う。

 

ちなみに以下の公式HPには早速、

合同スペシャル追加公演は全日程終演いたしました。
たくさんの皆様のご来場、キャスト・スタッフ一同、心より御礼申し上げます。

という文言が追加されている。

こちらこそありがとうという気持ちだけど、やっぱりさみしい!!